Sweet
Day
艦内に漂う甘い甘いにおい。
2月のメインイベント、バレンタインデイ。
それに向けて姫がチョコレートを作っている。
クルーゼ隊のアイドル(本人は否定)であのアスラン・ザラの幼馴染。
信じたくないけどな。
今までのアスランの人格が覆せるくらい、奴はキラヲタクだった。
アスランに懐いていたニコルでさえ後退するほどの…
俺だって、あのアスランを見たときは引いたし…
「ミーゲールー!!」
声と同時に背中に衝撃。ついでに、チョコレートの甘いにおい。
「キラ」
頭を撫でてやると嬉しそうに見上げてくる。
…かわいい…
「チョコレート、作ってたのか?」
「うん!隊長に許可貰って厨房借りてるの!」
「もちろん、あいつだろ?」
「…うん…」
銀色の髪で、冷たいアイスブルーの瞳。
キラと同じ紅を着ている。
あいつ…イザーク・ジュール。
キラの片思いの相手だ。
…と、思っているのは当人達だけで実際は両思いにしか見えなかったりする。
キラはいつだってイザークを見ているし、イザークもキラを見ている。
目が合ったりすると二人とも赤くなって視線をそらす。
…これだけのことをされてわからないのはきっと当事者とアスランぐらいだ。
「貰ってくれるかなぁ…」
「大丈夫だ」
なだめるように背中を撫でてやる。
なんといっても心配するまでもなくイザークもキラにベタ惚れだからな…
「ありがと。頑張って渡してくるね!」
「おう。駄目だったら慰めてやるよ」
そんなことはありえないけれど…
元気になってイザークを探すキラの後姿を見てそう声をかけた。
後日、半狂乱なアスランを見て、キラとイザークがうまくいったことを知った。
まぁイザークがキラを振るなんてありえない選択肢だったわけだけどな。
イザークにキラを泣かせないように言い聞かせておこうと思う。
先輩命令ってやつで。
…そんなことをしなくても、あっさり“当然だ”ってかえされそうだけど。
チョコレートはというと、キラは艦内のクルー全員に配ったらしい。
俺たちはキラの手作りだったしな。
甘いものが苦手な俺にも食べれるように、ビターだった。
本当に可愛くてお兄さん、メロメロよ?
ミゲル視点のイザキラというおかしなものになってしまいました。
なんでしょう、これは。
イザキラといいつつイザーク影はあっても形はありません…
その後はホワイトディでたぶん…
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